ボランティア「研修」講師の「研修」
着々とボランティアの募集が進んでいる頃、ボランティアが受講する研修の講師も募集されていました。私は普段から日本スポーツボランティアネットワークという団体が主催するスポーツボランティア活動者向け研修の講師をやっていたので、是非、オリンピック・パラリンピックの研修講師としても活動したいと思い、講師向けの研修会に参加しました。
組織委員会は、大会に直接関わるボランティアのことを「フィールドキャスト」と呼び、各開催都市の自治体が募集するボランティアを「シティキャスト」と呼びました。これはボランティアという定義が曖昧で、有償スタッフの代わりに無償で提供する役務と誤認されていることがあり、ボランティアはあくまでも職員の代替人員ではなく、大会を盛り上げ、イベントの価値を上げる存在として認識されるように、工夫した結果だと思われます。ネーミングから察して、某テーマパークで働くスタッフを「キャスト」と呼んでいることを参考にしたと思われ、研修ではボランティア活動者の満足度が、選手や観客の満足度に影響を与えるという視点で、某テーマパークを参考にした座学や実技の研修を受けました。劇団四季の俳優の方や、箱根駅伝常勝校の監督等、様々な講師陣から興味深い話を聞き、かつオリンピックの開催意義や、パラリンピックの崇高な理念等を、真夏の晴海で連日みっちりと学び、すっかりオリンピック・パラリンピック大好き人間になっていました。
とは言え、ボランティア向け研修で使う資料は膨大で、かつ制限時間内に全てを伝えなければならず、1時間以上の講義シナリオを全部暗記するために、何度も何度もリハーサルを繰り返しました。スマホで自撮りをし、時間オーバーのパートを削る工夫をしたり、シナリオには書かれていないけど、自分なりに伝えたいことを付け加える作業を、感覚的には100回以上はやったと思います。そんなに一人でリハーサルした講師はほかにいないだろうなぁ・・・ちょっとやり過ぎなんじゃないかとも思いましたが、やるからには完璧にしたかったので、通勤電車の中でも自撮りした動画を見て反省し、1896年の第1回アテネ大会からの年表が絵巻の様に頭の中で描かれ、戦争で中止になった時代背景や、パラリンピックの開催に尽力した関係者の名前等、メモを見ずに講義をやれる準備が整ったのは、2019年の10月でした。