ボランティア共通研修 ~ One teamは「エアー」ハイタッチで!?
僕が担当する研修は、代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターで行われ、会場には約300人の参加者がおり、午前の部と午後の部、それぞれ3時間ずつ講義が行われました。僕はできるだけ、「オリンピック、待ち遠しいデスネ!」という雰囲気を維持しながら、でも単に楽しいだけじゃなく、とぉっても大切な開催意義があり、それをわかった上で活動した方が、大会が終わった後の充実感に繋がるよ、というメッセージを散りばめました。特に1940年の東京大会が戦争の影響で開催できなくなり、当時の関係者が落胆した状況を伝えながら、平和の祭典であるオリンピックを開催するためには、絶対に平和を維持しなくちゃならないことを強調しました。
講義の最後に、自分が一番伝えたかったことを、こんなセリフで語りました。
<シナリオ抜粋>
ちょっとだけ考えてみてください。ボランティアの募集に20万人以上の人が応募したなんて、素晴らしい世の中だと思いませんか?もし場所や時代が変われば、状況は違っていたかも知れません。
もしここが、失業率50%でとっても治安が悪く、巷に職に溢れた人がたくさんいる国だったら、きっとボランティアどころじゃないですよね。
もし今年が1938年で、大会の準備が着々と進んでいるさなかに戦争当事国になってしまったら、大会が中止になり、ボランティア活動はできなくなってしまいますよね。
だから、とぉ~ても貴重なんです、オリンピック・パラリンピックのボランティア活動ができるという環境が目の前にあり、そのチャンスをつかみ取ろうと研修に来ている行動自体が。是非、大会が開催されるように、みんなで平和やこの国の治安を維持し、貴重な機会を逃さないように、楽しみましょうっ!」
この頃はまだパンデミックになる前だったので、満席の会場は熱気が溢れていました。参加者同士でも絆が強まる様に、グループディスカッションで盛り上がる工夫をし、ちょうどこの年、ラグビーのワールドカップが日本で開催され、日本チームが「One team」を合言葉に大躍進したので、「みなさん、近くの席の仲間と、One team感を出しましょうっ!」とハイタッチを促したり。
ところが、新型コロナに感染した乗客を乗せたまま、クルーズ船が横浜港に着岸し、海外のニュースでパンデミックが起こっていることが伝えられる頃になると、研修会場もピリピリし始め、2020年2月に実施した研修では「皆さん、近くの席の仲間と、One team感を出しましょうっ! あっ、でも、ハイタッチは、非接触、エアーハイタッチでお願いしますっ!」と言わなきゃならない状況に陥っていました。
まさか新型コロナウィルス感染症が蔓延して、近代五輪史上、前代未聞の開催延期の事態に直面してしまうとは・・・