Tsunashima Blog
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東京2020オリンピック・パラリンピック物語 動揺編01 噂の延期期間

噂の延期期間

大会の開催延期が決まった時、延期される期間については発表されませんでした。そしてIOCが正式に発表するまで、ICOの理事が個人的な見解を述べたり、マスコミも独自に検証し始めて、1年延期説や2年延期説に加え、4年延期説まで飛び交っていました。しかしどのタイミングで開催したとしても、賛否両論になることが確実で、新型コロナ感染症の終息見通しを見極めた上で決定するとしたまま時間が流れ、組織委員会の多くの職員が、計画の見直しにどこから手を付けるべきか、あるいは長い年月を使って練り上げた計画を、どこまで維持できるのか、やきもきして過ごしました。

当初は、1年延期説よりも、2年延期説の方が有力と見られていました。2022年は冬季大会が北京で開催されることになっており、夏冬同時開催という訳です。実は1992年まで夏も冬も同じ年に開催されていましたし、東京と北京は2000キロしか離れていません。それほど違和感がないということだったと思います。ただし、スタッフ側の事情を考えると、100%あり得ないと感じていました。なぜなら、通常オリンピック・パラリンピックの開催の1年ぐらい前から、オリンピック・パラリンピックを専門とする業者が大勢のスタッフを現地に派遣して準備をします。例えば、よく競技中にテレビ画面の端に表示される計測システムは、スイスのOMEGA社です。彼らは、オリンピックの1~2年前から開催地に常駐して準備をするため、夏冬同時開催だと、絶対的な人数が足りなくなります。また競技会場に電力を供給するためのシステムや映像システム等はIOCが指定する業者を使うことが決まっているため、夏の大会の準備をしながら、同時に冬の大会の準備をすすめることは至難の業と多くの職員が感じていました。

4年後に開催することになっていたパリが開催権を返上することも考えられませんでした。東京も同じですが、既にインフラの工事を進めており、4年間延期するとなれば、その間の維持費用の負担責任が発生します。8年後のロサンゼルスなら、まだ間に合うかなとも思いましたが、そうなると8年間、東京はどうやってやり直すのか、全くの白紙状態だったのだと思います。

個人的には、ほんの3か月間だけ延期して、1964年のオリンピック開催と同じ、10月開催すると、マラソンも東京でできるし、気候的にギリギリなマラソンスイミングやサーフィンを除けば、競技者側にはむしろ条件は良くなると思ったりしました。ただし、コロナ感染症がたった3か月で終息する見込みは全くなかったので、いずれにしろたった一度しか切れない「延期カード」を、いつどうやって切るか次第で、大きく展開が変わってくることは想像に難くありませんでした。 いつになったら決まるんだろうか、そもそも「延期」なのか、もしかしたら「中止」になってしまうのか、そんな不安が渦巻く3月の終わり、突然、IOCから「1年延期」が発表されました。個人的には「ホッとした」というよりも、「課題が多すぎて、本当に開催できるのか」という不安の方が大きかったというのが正直な感想です。

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